ジゴキシンは古くから心不全や不整脈などの治療に広く用いられている薬剤ですが、血中濃度治療域が狭く、体内動態に個体差も認められるため、薬物血中濃度モニタリング(TDM)が推奨されています。
これまでジゴキシンの治療域は0.8~2.0ng/mLとされてきましたが、近年、治療域内での副作用発現や、治療域を下回る濃度での有効性などの報告から再評価が求められてきたため、新たに目標血清中濃度をこれまでより低く0.7ng/mLを維持しうる至適投与量を推定する投与ノモグラムを作成しました。
このノモグラムより、TDMを実施したジゴキシン投与患者820例を対象に予測血清中ジゴキシン濃度の頻度分布を算出したところ、60%の患者は0.5~1.0ng/mLの範囲に入ることが示されています。
新しいノモグラムは、市販製剤の規格に則した投与も加味されていますので、日常診療でのジゴキシン適正投与にお役立てください。
参考:福本恭子、他:TDM研究,31(2),69-75(2014)